【完全保存版】ペルーニットの失敗しない洗い方!縮み・型崩れを防ぐ手順と日常ケア

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ざっくりとした編み目と、素朴で温かみのある風合いが魅力の「ペルーニット」。

手編みならではのボリューム感は、冬のコーディネートの主役になりますよね。しかし、いざシーズンが終わる頃、また汚れが気になった時、ふとこんな不安がよぎりませんか?

「このニット、家で洗ったら縮んで子供服みたいになってしまわない?」

「クリーニングに出すと高いし、風合いが変わって帰ってきたらどうしよう……」

その不安、非常によく分かります。ペルーニットは一般的な化学繊維のセーターとは違い、「生きている繊維」と言われるほどデリケート。間違った洗い方をすると、一瞬でフェルト化してカチカチになったり、水を含んで伸び切ってしまったりします。

しかし、安心してください。正しい知識と手順さえ守れば、自宅でも安全に、しかもフワフワに洗い上げることが可能です。むしろ、適切な手洗いは繊維をリフレッシュさせ、ニットの寿命を延ばすことにも繋がります。

この記事では、ペルーニットを長年愛用している筆者が、「失敗しないペルーニットの洗い方」を徹底解説します。大切な一着を長く愛用するために、ぜひ最後までお付き合いください。


【基礎知識】なぜペルーニットは「洗わない」ほうがいいのか?

まず結論から申し上げますと、「ペルーニットは、基本的には洗わない(洗う回数を極限まで減らす)」のが正解です。

「えっ、洗わないと不衛生じゃない?」と思われるかもしれませんが、これにはペルーニット特有の素材の力が関係しています。

ペルー産ウールとアルパカ素材の特殊性

多くのペルーニットには、標高の高いアンデス山脈で育った羊(ハイランドウール)やアルパカの毛が使われています。これらの動物の毛には、厳しい寒さから身を守るために「ラノリン」などの天然の油分が含まれています。

この油分が、水を弾き、汚れを寄せ付けないコーティングの役割を果たしているのです。頻繁に洗剤で洗ってしまうと、この大切な油分まで洗い流してしまい、逆に繊維がパサパサになり、汚れやすくなってしまいます。

「自浄作用」を理解して洗濯頻度を減らす

ウールやアルパカには優れた「湿温調整機能」と「消臭・抗菌作用」が備わっています。汗をかいても湿気を放出し、匂いの元となる菌の繁殖を抑える力が強いのです。

  • 推奨の洗濯頻度: 1シーズン(冬の間)に1回、しまう前だけで十分。
  • 普段のケア: 着用後はブラシをかけ、ハンガーか平干しで数時間「陰干し」して湿気を飛ばす。

「汚れが目に見える時」や「シーズン終わりの衣替え」以外は、無理に洗わないことが、長持ちさせる最大の秘訣です。

自宅洗いが向いているもの・クリーニングに出すべきもの

いくら「洗える」と言っても、全てが自宅ケアに適しているわけではありません。以下の基準で判断してください。

スクロールできます
項目自宅洗い推奨クリーニング推奨
素材ウール100%、アルパカ混カシミヤ、シルク混、装飾(ビーズ等)付き
編み方シンプルな編み地、ケーブル編み複雑なレース編み、多色使い(色落ち懸念)
汚れ汗、軽いホコリワイン、油シミ、酷い黄ばみ
価格帯〜3万円程度のもの超高級品、絶対に失敗できない一点物

【準備編】失敗を防ぐための「三種の神器」と環境

ペルーニットの洗濯で失敗する原因の8割は「準備不足」です。いきなり洗濯機に放り込むのは論外ですが、道具選びを間違えると手洗いでも失敗します。必ず以下の3つを用意してください。

必須アイテム1:おしゃれ着洗剤(中性洗剤)の選び方

普通の洗濯洗剤(弱アルカリ性)は洗浄力が高すぎ、タンパク質を分解してウールを傷めます。必ず「中性」表示のあるおしゃれ着洗い専用洗剤を使いましょう。

特にペルーニットのような油分を含む素材には、ラノリン配合の洗剤を使うと、しっとりとした洗い上がりになります。

必須アイテム2:平干しネットの重要性

ペルーニットは太い糸で編まれているため、水を含むと想像以上に重くなります。ハンガーで干すと、自重で肩が出たり、着丈が10cm以上伸びてしまうことも。

100円ショップや通販で購入できる「平干しネット(2段・3段タイプ)」は必須です。これがない場合は、お風呂の蓋の上や、ソファの背もたれを使うなどの工夫が必要になります。

最適な水温と場所の確保

  • 水温:30℃以下(常温〜ぬるま湯)
  • 場所:洗面台、または大きめのタライ・バケツ

もっとも注意すべきは温度です。40℃以上のお湯を使うと、ウールのスケール(キューティクル)が開き、縮みの原因になります。触って「冷たくない程度」が目安です。


【実践編】ペルーニットを傷めない「押し洗い」5ステップ

準備ができたら、いよいよ実践です。ここでは、繊維へのダメージを最小限に抑えるプロの手順を紹介します。

STEP
洗浄液を作る(黄金比率)

まず、ニットを畳んで洗濯ネットに入れます。ネットに入れることで、手洗い中の摩擦による毛羽立ちを防げます。

次に洗面器に水を張り、洗剤を既定の量(水4Lに対し10mlなど、ボトル裏面を参照)溶かします。

洗濯のコツ:

水流で泡立てる必要はありません。洗剤を均一に混ぜることが重要です。

STEP
絶対に揉まない「押し洗い」の極意

洗浄液の中に、ネットに入れたニットを沈めます。ここでの最重要ルールは「揉まない」「擦らない」です。

  1. 手のひらで優しくニットを底に向かって「押す」。
  2. 手が離れる時に水流が繊維を通るのを感じながら**「浮かす」**。
  3. これを20回〜30回繰り返します。

汚れを落とそうとしてゴシゴシ擦ると、繊維同士が絡まり合い「フェルト化」して縮みます。水を通すだけで汚れは十分に落ちます。

STEP
泡切れをよくする「すすぎ」と柔軟剤の裏技

洗い終わったら水を捨て、きれいな水に入れ替えます。洗いと同じように「押し洗い」の要領で、泡が出なくなるまで2回ほど水を替えてすすぎます。

最後のすすぎ水に、柔軟剤を少し入れましょう。

もし柔軟剤がない場合、実は「ヘアコンディショナー(リンス)」が代用できます。ウールもアルパカも「動物の髪の毛」ですので、髪用のコンディショナーを使うと驚くほど柔らかく仕上がります。(※小さじ半分程度をよく溶かして使用してください)

STEP
脱水は洗濯機NG?タオルドライの方法

最もニットを傷めるのが「脱水」の工程です。

  1. タオルドライ(推奨):大きめのバスタオルを広げ、その上にニットを置きます。海苔巻きのように端からクルクルと巻き込み、上から体重をかけて水分をタオルに移します。これをバスタオルを替えて2回行えば十分です。
  2. 洗濯機を使う場合(要注意):どうしても水気が切れない場合は、洗濯機の脱水機能を「1分以内(30秒推奨)」で使用します。遠心力がかかりすぎると型崩れするので、あくまで一瞬だけ回すイメージです。
STEP
重力に負けない「平干し」テクニック

脱水後は、すぐに形を整えます。濡れている状態が一番整形しやすいタイミングです。

  • 縮んでしまった部分は、この時点で優しく引っ張って元のサイズに戻します。
  • 平干しネットの上に広げ、袖や裾が垂れ下がらないように配置します。
  • 風通しの良い日陰で干します。直射日光は変色や黄ばみの原因になります。

【応用編】トラブル別!縮み・伸び・毛玉の対処法

注意していても、ペルーニットは生き物のように変化します。トラブルが起きた時のリカバリー方法を知っておきましょう。

もし縮んでしまったら?トリートメント復元術

ママ

丁寧に洗ってもうっかり縮んだ時の対処法

うっかりお湯で洗って縮んでしまった場合、繊維の絡まりを解く必要があります。

  1. 洗面器にぬるま湯を張り、ヘアトリートメント(ジメチコン入りのもの)を多めに溶かします(1プッシュ程度)。
  2. 縮んだニットを30分ほどつけ置きします。
  3. トリートメント成分(シリコン)が繊維を滑らかにし、絡まりを解きやすくします。
  4. 脱水後、手で少しずつ、優しく引っ張りながら形を広げて干します。

袖や裾が伸びてしまった時のスチーム修正法

逆に、着ているうちに袖口がデロンと伸びてしまった場合。

これはアイロンのスチームで戻せます。

  1. 伸びた部分をアイロン台に置きます。
  2. スチームアイロンを「浮かしがけ」します(直接プレスしない)。
  3. 手で形をギュッと寄せるように整えながら、たっぷりの蒸気を当てます。
  4. 蒸気と熱でウールが収縮し、引き締まります。そのまま冷めるまで動かさないのがコツです。

ペルーニット特有の毛玉ケア(ハサミvsブラシ)

ペルーニットは撚り(より)が甘いロービング糸などが使われることが多く、毛玉ができやすいのが宿命です。

  • NG行為: 手でむしり取る(繊維が引き出され、次の毛玉の原因になります)。
  • OK行為: 小さなハサミで一つ一つカットする、または電動毛玉取り機を「高さをガードして」使う。

生地が厚いため、電動毛玉取り機を強く押し当てると糸自体を切ってしまう恐れがあります。表面を撫でるように使うか、眉毛カット用のハサミで丁寧に切るのが一番安全です。


【保管編】来シーズンもふわふわに着るための収納術

きれいに洗って乾かしたニット、そのままタンスに入れてはいけません。

ハンガー保管は厳禁!正しいたたみ方

シーズンオフの保管時は、絶対にハンガーにかけてはいけません。半年間重力がかかり続けると、見るも無残に伸びてしまいます。

お店のようにふんわりとたたみ、積み重ねる場合は「一番上」に置くようにしましょう。重い冬物の下敷きになると、ふんわりとした風合いが潰れてしまいます。

防虫対策と湿気コントロール

ウールやアルパカ等の獣毛は、衣類害虫(カツオブシムシ等)の大好物です。

  • 防虫剤: 必ず密閉できる衣装ケースに入れ、防虫剤を一番上に置きます(防虫成分は空気より重く、上から下に広がるため)。
  • 湿気対策: 乾燥剤(シリカゲル)も一緒に入れましょう。

よくある質問(FAQ)

ペルーニットはクリーニングに出した方が安全ですか?

確かに安全ですが、ドライクリーニングは「油性の汚れ」を落とすのが得意で、汗などの「水溶性の汚れ」は落ちにくい場合があります。汗をかいたシーズンの終わりには、自宅での水洗い(またはクリーニング店のウェットクリーニング指定)の方がさっぱりする場合もあります。不安な場合はプロに相談しましょう。

柔軟剤は必ず必要ですか?

必須ではありませんが、使用をおすすめします。特に古いニットの場合、油分が抜けてガサガサしがちです。柔軟剤やヘアコンディショナーで油分を補うことで、チクチク感を軽減し、静電気も防げます。

乾燥機を使ってもいいですか?

絶対にNGです。 乾燥機の熱と回転は、ウールをフェルト化させる最強の組み合わせです。子供サイズまで縮んでしまい、二度と元には戻りません。


まとめ

ペルーニットの洗い方は、手間がかかるように見えて実はとてもシンプルです。

  1. 洗いすぎない(シーズン1回でOK)
  2. 30℃以下の水で、優しく押し洗い
  3. 絶対に絞らず、タオルドライ
  4. 平干しでゆっくり乾かす

この4つのポイントさえ押さえれば、お気に入りのペルーニットは驚くほど長持ちします。手洗いの時間は、大切な服と向き合う豊かな時間でもあります。ぜひ次の週末、晴れた日にチャレンジしてみてください。

手入れされたニットは、買った時以上に愛着の湧く、あなただけの一着になるはずです。

花王公式HP ウールの洗い方


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